• 情報は力なり

情報の氾濫時代における食科協の役割りとは(2025‐12‐19)

来年は、食科協設立から四半世紀を迎えることになります。

この間、2003年にリスク評価機関とリスクコミュニケーションの司令塔として「食品安全委員会」が設置されました。当協議会としても、行政の行うリスクコミュニケーションを補完する活動に力を入れてきました。2006年には、「ポジティブリスト制」の創設にあたって、その円滑な導入をすすめられるよう研修会等を頻繁に開催してきました。

その後も、「食品表示制度の統合」、「HACCPの義務化」、「機能性表示食品制度の創設」等、食品保健行政に係るテーマをその時代の要請にこたえる形で、会員の方々へ提供するという役割を担ってまいりました。

ところが、2019年に始まったコロナウイルスによるパンデミックは、社会活動を激烈なまでに低下させました。その副作用として、食品業界は大きな打撃をこうむり、同時に保健所を中心とした食品保健行政活動も衰弱してしまいました。

一方では、インターネット環境は爆発的な発展をして、市民の得る情報は、テレビ・ラジオといった古典的マスメディアから、SNSに重心が移動しています。

かつては、国から発出される情報は一握りの限られた人しか入手できず、タイムラグのある高価な専門の法令集にアクセスするしかなかった時代に、当協議会ではいち早く通知類とその解説を会員にお届けすることを使命としていました。

また、それ以上に、法改正や制度の見直しにあたっての各種通知類の背後にある事情や理由を詳しく、国の担当者から直接聞くことができる機会を設定できることが、他の団体にはない当協議会の最大の売りでもあったわけです。

しかし、そんな状況も2010年以降、特にコロナ禍を経て、情報発信の環境が劇的な変化を起こしています。一見して情報の量は指数関数的な増加傾向にありますが、その質ということになると、量に反比例して低下しています。特に国をはじめとする行政からの発信情報は、各省庁や地方自治体のホームページの充実とは裏腹に、お化粧のされた情報ばかりで、本当に知りたい、あるいは必要な情報が出てこなくなってしまいました。当協議会で、国等の担当者にわざわざ来てもらっての研修会でも、通知の文言以上のことは話してくれなくなりました。

このような時代に、食科協の活動も根本的な見直しを要請されているのではないでしょうか? 一体、必要な情報とは? 氾濫する情報の海をどう泳いでいくべきなのか? 問題点を下記の項目に沿って考察しながら、これからの食科協の活動の方向性を会員の皆様と模索していきたいと考えます。