2022年6月17日 NPO法人食品衛生科学情報交流協議会20周年記念 食科協コミットメント

・はじめに
 NPO法人食科協は、創立10周年に際してコミットメントを発表し、続く10年の在り方、活動方針を定め実行してきたところです。

 今般、新しい10年を迎えるにあたり、NPO法人食科協創立20周年における食品安全の動向を検証し、食品安全の方針に対する活動の基本方針を定めました。

・主文

 2018年6月13日公布の改正食品衛生法は、食品流通のグローバル化を背景として、国際標準のHACCPや器具・容器包装のポジティブリスト化、食品リコールに関する情報公開などが盛り込まれ、2003年以来の大改正で食品業界は大きなパラダイムシフトを迎えた。

 さらに、SNSの普及に伴う食に関する誤情報・フェイクニュースの氾濫、地球規模の食品安全保障問題や気候変動、SDGsの取り組み、食品ロス削減への認識の高まり等食品を取り巻く社会環境、消費者意識も大きく変化している。

 2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大や頻発する自然災害などに伴い、人類の生活の在り方は大きな変化をする中で、食品事業者もコロナ禍でもフードビジネスを継続・発展させるため、さまざまな食品の提供形態を模索している。一方で、新しい食品、食品提供の在り方を模索することは、新たな食品リスクを生み出す可能性とも背中合わせである。(図1)

 このような社会情勢の変化を踏まえ、食科協は科学的な食品保健情報の観点から、食品等事業者を支援していくために、消費者・行政関係者・食品業界関係者などに対し、食の安全に関する情報発信を通じてプラットホームとなる交流の場を目指し、科学的な根拠に基づく食の安全に関する適切な情報をわかりやすく発信するための講演会やワークショップなどの活動を進めていく。

 また、他団体と連携し、社会不安を引き起こすようなデマや風評などのフェイクニュースの拡散に対し、適切な情報を収集し利害関係者への理解と行動に寄与することを目指して行く。これらの活動を通じ、食品安全基本法の目的の一つである「リスクコミュニケーション」を推進し、消費者の「食の理解」につなげたい。(図2)

・活動の基本方針

 食に係る関係機関、諸団体との交流の強化と食科協の独自性ある活動の推進。

  • 情報発信の充実

 ニュースレター、ホームページの充実、わかりやすい情報発信と情報交換の活性化。

②勉強会の充実

 独自テーマの追及、系統的な開催

③行政機関等への意見の発出、提言

 規格・基準等に関する改正意見、パブリックコメントに対する意見・質疑等の発出、提言。

④組織体制の強化・拡大

・食科協の趣旨の賛同者への入会募集

・遠隔地との交流、地域的な活動範囲の拡大を図る

・食科協活動の継続性に資する新たな活動を図る。

図2 NPO法人食科協20周年と食品安全に対する活動の基本の方針

図2 NPO法人食科協20周年と食品安全に対する活動の基本の方針