ご挨拶

理事長就任挨拶

代表理事に就任して

                        特定非営利活動法人食品保健科学情報交流協議会
                   

 6月14日に開催されました第21回(2023年度)総会におきまして、理事長に選任されました。馬場前理事長の後を受けて、新たに次の30年目に向けて「食科協」の活動に尽力してまいりたいと決意しております。

昨年度は馬場前理事長のもとで20周年を迎えることができました。コロナ禍の中での困難な時期にあっても活動を継続してこれたのも、ひとえに理事、運営委員、事務局、会員の皆様の熱心な努力の賜物と考えています。

 思い起こせば、21年前の2002年、伊藤蓮太郎氏が中心となって当協議会を立ち上げられた頃は、私自身は海外赴任から帰国した直後でしたが全国的な牛海綿状脳症の検査結果が報告されてきて、記者会見等で厚労省の監視安全課は騒然とした雰囲気でした。そのような状況のなか週に1回ほど伊藤さんが課の入り口に掲示してある通知類のコピーを収集にこられていました。こちらが忙しくしていたようなので伊藤さんも遠慮されて、コピーを手にするだけですぐに立ち去られていたのですが、時々は入口での立ち話し程度ですが、NPO法人を立ち上げて行政の生の情報を迅速に届ける仕事をしていらっしゃるということを伺いました。

 その後は、協議会の研修会の講師として会員様の前に立って、行政情報を直接お伝えする機会をいただくこともありました。

 2014年に厚労省を退官した後は、民間の検査機関で働いておりましたが、一昨年(2021年)、(公社)日本食品衛生協会に奉職することとなった際に、馬場前理事長と北村運営委員長からの熱い要請にお答えする形で運営委員の一員として当協議会のお手伝いをさせていただくこととなりました。これまでも厚労省OBとして伊藤さんをはじめとして、森田邦雄氏、槇孝雄氏、東島弘明氏等、諸先輩方が尽力されてきておりましたので、OBの一人として引き継いでいくべき義務があると考えた次第です。その後、常任理事となって少しずつ責任が重くなってきて、研修会の講師、座長等を務めてまいりましたが、いよいよ代表理事として推挙される事になった時には、これもこれまで食品衛生行政を遂行してきた中で地方公共団体、食品営業者、消費者の方々から受けてきたご支援・ご協力に対するささやかな恩返しを果たしたいとの考えから、謹んでお引き受けすることとしました。

 さて、本協議会が発足した20年前に比べると、インターネットの普及拡大は想像を超えるものであり、SNSをはじめとする電子情報は氾濫としか形容詞がたく、食品関連の情報も爆発的に増大しています。何が正しい情報で、何がフェイクなのか、情報の読解力や真贋判定のための眼力が必要な時代になってきています。これこそ当協議会の活動の重要性がますます高まってきている所以であります。

 また、リスク・コミュニケーションの重要性が食品安全委員会や消費者庁の創設の理由の一つとなった一方で、制度化されたがためにかえって形骸化してきているのではないかと危惧されています。

 行政情報を正確に幅広く普及させるという当協議会の主たる目的に加えて、現場からの実態、疑義、意見、提案、懸念事項などを立法機関、基準策定部局、監視部門などの広い意味での行政機関へフィードバックする機能(つまり、リスク・コミュニケーションのもう一つの機能)を果たすことも重要な当協議会の役割として考えていくべきではないでしょうか。それに加え、当協議会の活動の柱である「技術相談」、「学術交換」、「調査研究」、「部会活動」を推進していきましょう。

 これからの食を取りまく環境がより安全で、より安心できるものになるよう皆様と一緒に努力していく所存です。どうか皆様方の積極的な活動と格別のご協力をお願いします。

新理事長プロフィール
1954年、岡山市生まれ
北海道大学獣医学部卒  厚生省入省以来、主に食品衛生及び感染症分野に従事。
兵庫県庁に出向時には、保健所の現場での食品監視業務、と畜検査、狂犬病対策に従事.。健康局感染症情報管理室長、マレイシア保健省政策顧問、輸入食品・検疫検査センター長、生活衛生局監視安全課長、検疫所長を歴任. 。「食品衛生法」,「栄養改善法」、「検疫法」等の改正,「食鳥検査法」の創設、「感染症法」の制定に従事.。
現在、公益社団法人日本食品衛生協会常務理事、一般社団法人食品衛生登録検査機関協会理事長、公益社団法人日本獣医師会理事。

                理事長 加地 祥文

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