連日のようにノロウイルスによる食中毒が日本各地で発生しています。4月になっても衰える様子がありません。飲食店や弁当製造の方々は厳しい衛生管理、従業員管理を実施していることと思われますが、本当に一部の業者さんによるちょっとした不注意や気のゆるみからノロは感染を引き起こし、非常に頻度は低いにしても、発生した場合の患者数が多いことから、世間での注目度が大きくなる傾向にあります。
そんな状況の中、先月(3月26日)に厚生科学審議会の第3回食品衛生監視部会が開催され、令和6年度の食中毒発生状況と令和7年度の輸入食品監視指導計画案が報告されました。ネット配信もされていましたので視聴された方もいたのではないでしょうか。
私もこの部会に出席してきました。そこでの検討の中で、なかなか減らない、むしろ増えているノロウイルス食中毒対策についても議論がありました。これまで厚生労働省のノロ対策方針は、ノロウイルス保有者であるとわかった従業員は、「極力、直接食品にさわる調理作業の従事からはずして、ほかの業務につかせる」というものでした。都道府県等の保健所からの指導も、検便を通じてノロウイルスの保有の状況を調べ、陽性となった場合は調理に従事させない、という指導がされていたと思います。
食中毒発生状況をみても厚生労働省のこれまでの指導対策があまり効果を生んでいないという認識の下、ノロウイルスの保有者を調理に従事させない、という対策が、実際の調理場や工場では非現実的であったという理解をしているようです(事業者としてはノロが陽性になったからといってこの人手不足のおり、遊ばせているわけにもいかない)。現実路線として、調理従事者がノロウイルスを保有していることを前提として、いかに保有者から食品への汚染を防止するか、特に手洗いと消毒の励行に力を入れて指導するという方向にいい意味での(現実的な)方針へ舵を切っていこうという雰囲気を感じました。。
ノロウイルスの保有を前提とした汚染防止対策の実効性を上げるためには、従業員の自覚が何よりも大きな鍵となるでしょう。保有を前提とした場合、従業員の定期的なノロウイルス保有検査は、必要なくなるのでしょうか? いいえ、引き続き実施する必要が大いにあるのです。なぜなら、従業員個人が保有の事実を直接しめされることによって、手洗い・消毒・調理作法を「真剣に徹底してやらなきゃ」というインセンティブが一人一人の従業員に強く働きかけるからです。(ヘリオット)